陥入爪、巻き爪とは
陥入爪は、爪の端が食い込むことで炎症を起こした状態で、巻き爪は爪の両端が内向きに湾曲した状態をいいます。足の親指で生じることが多く、巻き爪と陥入爪は併発することも珍しくありません。
痛んだ足をかばうようにして歩くため、姿勢が悪くなり、腰や膝の痛みの原因にもなります。
陥入爪、巻き爪の原因
巻き爪は特に女性に多く、原因としてサイズが合わない靴やハイヒールがあります。
また、ご高齢の方でも指の骨の変形に伴い巻き爪が発症することがあります。
巻き爪は、
- 誤った爪の切り方
- 足にきちんと合っていない靴選び
- 足指に負荷をかけない歩き方
の3つが主な原因となって起こるほか、爪白癬や、服用中のお薬が影響していることもあります。
誤った爪の切り方
爪の切りすぎや、先端を斜めに切り込むなどの誤った爪の切り方は、巻き爪の大きな原因になります。
いわゆる深爪になってしまうと、爪の先の両端が皮膚に埋もれ、負荷がかかりやすくなり、爪が丸まる性質が働き、巻き爪になると言われています。
足にきちんと合っていない靴選び
女性に巻き爪が多い理由の一つとして、ハイヒールなどの先端の細い靴や、サイズの合っていない靴によって、足の指と爪にかかる負荷のバランスを損なうことが考えられます。
先端が細く、足の幅に合っていないと、側面から加わる足の指への負担がかかり、ヒールが高いことによって、バランスを崩しやすくなります。一方、大きすぎる靴を履いた場合でも、足の指が固定されないため、こちらも足へかかる負担が大きくなります。
また外反母趾は隣の指に圧迫されるため、巻き爪の要因になります。
足の指に負担がかかると、巻き爪のリスクが高まるため、ご自身の足のサイズや足の幅に合った靴選びが大切になります。
足指に負荷をかけない歩き方
本来、足の爪は丸くなる性質があり、歩行時に地面と接触することで平らになります。したがって、寝たきりの患者様や、爪先を地面につけないで歩く癖があると、巻き爪の原因になります。足の親指が歩く向きに対し、外向きや内向きだと力のバランスが崩れ、巻き爪になりやすくなるため、歩く方向にまっすぐ親指を出すように心がけましょう。
また、毎日歩く習慣をつけ、負荷をかけることが大切です。
陥入爪、巻き爪の治療
もし巻き爪になっても、特に症状がなければ様子を見ても構いません。しかし、爪が棘になって皮膚に食い込み痛みがある場合や、陥入爪がある場合、炎症で化膿する恐れがあるため治療を要します。特に不良肉芽というぶよぶよした肉が盛り上がる状態では、自然治癒が難しく、出血など日常生活に支障をきたすこともあります。
また、巻き爪がなくても陥入爪のみが起こることがあり、治療法はいずれも共通する点が多いです。
テーピング法
テーピング法は、伸縮性のテープを巻く方法で、やり方を覚えると自宅でも行うことができます。
2cm×6cm程度に切った医療用テープを、爪と皮膚に隙間ができるように貼り、巻き爪や陥入爪の圧迫を和らげていきます。
詳しい方法は医師や看護師が実際にテープを貼りご説明いたします。
コットンパッキング
コットンパッキングも簡単にできる方法です。こちらはテーピングとは逆に、隙間に綿を詰め、食い込んでしまった爪を持ち上げることで指の皮膚を保護します。
爪の食い込みが激しい場合は、テーピング法との併用で痛みを和らげていきます。
ワイヤー法
ワイヤー法は巻いた爪の両端にドリルで小さな穴を開け、そこに形状記憶のワイヤーを挿入し、ボンドで固定する方法です。形状記憶のワイヤーが、まっすぐに戻ろうとする力が巻き爪に加わることで爪をまっすぐに矯正していきます。
爪が伸びたらワイヤーを入れ直す必要があるため月1回程度の治療となります。治療は保険適応外となります。
陥入爪、巻き爪の予防
爪は切りすぎず、先端はまっすぐ、両サイドは少し丸めて、皮膚と爪は1mm以上離して切りましょう。
巻き始めの爪を深く切ると、かえって巻き爪や陥入が激しくなります。
また、靴はサイズだけでなく、足の幅や爪先も自分に合ったものを選ぶと良いでしょう。やむを得ず、ハイヒールなどが必要な場合、会場で履き替えるようにして、行きや帰りは歩きやすい靴で会場に向かいましょう。
他には正しい歩き方を意識するといいでしょう。踵から地面につけ、歩く方向に対して足の指をまっすぐ出し、最後に母趾で踏み込みましょう。
また、毎日運動の習慣を身に着け、足にほどよく負荷をかけると、爪が巻こうとする力よりも平らになる力が強くなり、巻き爪や陥入爪の予防になります。